母方の実家が愛媛県の海近くにあって、夏休みになると良く家族皆で四国に帰省していた幼少の頃。
アスファルトが揺らぐ焼けるような陽射し。どこからか聞こえる蝉の声。通りを走る風はぬるく、初めて見る景色に胸を躍らせていたあの頃。
高速道路をいくつも乗り継ぎ、岡山県から香川県へと伸びる瀬戸大橋をわたる時。
車窓から見えるのは瀬戸内海に沈みゆく夕日を受けて紅く染まる瀬戸内の島々。
カセットテープから流れる松任谷由実さんの曲が胸にスッと入ってくる瞬間。
時々無性に海が恋しくなるのは、決して山に住んでいるからだけでは無く子供の頃に焼きついたあの日の光景が、20年以上たった今でもずっと胸の中にあるからでしょうか。
北海道、沖縄、小豆島、伊豆七島・・・
まだ島旅の回数は少ないですが、つまりは言い換えればまだ見ぬ島旅が沢山あると言うこと。
ご無沙汰しております、ああ旅がしたい、1週間とは言わない、出来れば2泊3日がいい、まだ見ぬ島の旅に思いを馳せては書店の旅行誌コーナーを行ったり来たり、最近はもうずっと長崎は五島列島に行きたすぎるばら●もん吉田です。
潮の香りが恋しい時ってありませんか?
静かな昼下がり、テトラポットに打ち寄せる波音を聞きながら防波堤に腰掛け、バケツを片手に釣れない糸をたらしてのんびり。
地平線に見える船が汽笛を鳴らし、見上げれば悠々と飛び回る海鳥の声を聞く・・・
良いですよね。
特に目的も無く、そんな風に何もしない時間を過ごしたい、知らない景色の中で思うままに歩いてみたい・・・
という思いが走り出して止まらないのがいわゆる僕の中の島旅なのですが、
そこまでの時間は無いけれどそんな時間がほしい、旅気分に浸りたい、潮の香りを吸い込みたい・・・
そんな思いを叶えてくれるのが「江ノ島」なんです。
国道134号線、なだらかに続く海岸線沿いに江ノ電が走り、片瀬江ノ島駅から歩いてすぐというアクセスに「島」。
お店が沢山あって、鳥居があって、猫がいて、石段があって、エスカーがあって、展望台があって、猫がいて、洞窟もあって、そして猫がいる。
島で生活する人々がいて、歩いてまわるのに丁度良くて、更には船もある。
昔からとても好きで、思い立つと意味も無く立ち寄ってしまうスポット、それが江ノ島。
もうかなり前ですが、愛車を走らせてないなと思い、ふらっと江ノ島に行ってきました。
時間がある時は島をぐるりとまわるのですが、この時は着いたのが夕方、沈みかけた太陽がサムエルコッキングを紅く染める時間帯。
特にあてもなかったのでとりあえずバイクを停めに向かいます。
しばらくぶりの愛車はやはり良い・・・
まだこの相棒とは北海道に行っていないので、いつかは走りたい、北の大地です。
バイクを停め、人々で賑わう参道を歩いてみます。
もう夕方だというのにとんでもない人の数でした。
しらす、浜焼き、地ビールの誘惑を真顔で振り払い缶コーヒーを購入。
この時間だし、上の方は諦めてとりあえず正面の神社まで歩いてみようかな、と歩いていると・・・
猫がいました。
神社の石段を上がり、「・・・・・・結構来たな(←まだ入口)」深刻な運動不足に向き合いながら一息ついていると参道を見下ろす猫を発見。
考えるよりも先にシャッターを切ります。
100枚は撮る勢いで30半ばのおじさんがにゃんにゃん呼びかけながら粘っていたらカメラ目線頂きました。
良いぞ・・・!
君のそのスカーフが素敵だ。
彼はすぐに参道を見守る作業に戻っていきました。
その後ふらりと歩くと何とまぁ江ノ島の本領発揮、あっちもこっちも猫だらけだったので、このまま夜まで猫に囲まれていようかなと真剣に悩みましたが「134の渋滞怖い」と現実に戻り、石段を降りていくと売店の横に猫が。
石段を枕にして寝るというこれは手練ですね。
寝てるのかなと思いつつにゃんにゃん呼びかけるも無反応・・・
邪魔してすまん・・・
気がつけば参道を降りきっていました。
猫分補給した・・・
来たときは夕暮れだった景色もすっかり夜の帳が降り、紫がかった海が荒波をおこしてしぶいていました(←この日は風が物凄く強かったのです)そして愛車の元へ。
特に何もしなくても何か旅した気分になります。
そんな江ノ島がやっぱり好き。