趣味のお話~ナポレオン戦争期イギリス海軍編~

こんにちは!!
営業部の蒔田です!!!

前回は趣味のお話ということでナポレオン戦争中のイギリス陸軍のお話をしましたが、
陸軍をやったなら今回は海軍のお話をしようということでイギリス海軍にまつわるあれこれをご紹介したいと思います!

こちらも語り出すと止まらないので、豆知識的なことをいくつかお話ししていきましょう!

※参考文献の数々

 

◼️British Army と Royal Navy
前回ご紹介したイギリス陸軍ですが、こちらは英語ではBritish Army(ブリテンの陸軍)と言います。
対する海軍はRoyal Navy(王立海軍)です。

長くなるので細かい歴史は省略しますが、イギリスでは伝統的に「常備軍(常設の陸軍)は持たない」という法律があります。
なので陸軍全体は一時的に編成されていることになっており、国王の名のもとに設立されたことを示すRoyalの称号は持っていません。

これに対して海軍については一時的に王政が廃止されていた時代から王政復古する際に当時の海軍が国王側の味方についたことから国王の信頼を得てRoyalの称号を授けられました。

Royal ArmyやBritish Navyといった表現はしませんのでご注意ください!!

◼️船≠ship!?
船を英語で言うと何か。
もちろんほとんどの人がshipと答えると思います。

ただ、帆船時代の英語ではこれは必ずしも正しいとはいえません。

ナポレオン戦争時代の軍艦は戦列艦と呼ばれる巨大なものと、フリゲートと呼ばれる中型で速度の出るものが主力でした。
こういった種類の船はマストが3本あり、マストに対して十字に交差するように取り付けた帆桁に帆を張る方式です。

ただ帆船というのはほかにも様々な種類があります。
みんな一緒に見えますが、現代でも練習帆船日本丸とヨットとでは帆の形がまったく違うと言ったらわかりやすいでしょうか。

そしてこの様々な種類にはそれぞれ名称があります。
さっきご説明した3本マストに十字に交差する帆桁をつけた船のことをshipといいます。
ヨットは1本のマストで十字に交わるような帆桁もありません。
すなわちヨットはshipには含まれず、船の種類としてはあくまでヨットなのです。

しかし時が経つにつれてエンジンを積むようになって船から帆装がなくなりこういった種類分けが過去のものとなっていきました。
最終的には船の代表格であったshipの名称が船全体を表すようになっていったようです。

 

◎日本丸
実は日本丸もshipではなく、バークbarkという船です。
※独立行政法人会議教育機構 ( https://www.jmets.ac.jp/ship/nipponmaru/index.html ) より

 

 

<写真3>
◎ヨット
※wikipedia「ヨット」 ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%83%E3%83%88 ) より

 

◼️艦長=Captain 船長≠Captain!!??
船を指揮する人を英語で何というか。
これももちろんCaptainと答える人が大半でしょう。

ただ、これも昔は違ったのです。

これについては民間の船と軍艦それぞれの役職を見ていくとわかります。

民間の船では船長を筆頭に航海士、水夫というふうに続きます。
一方軍艦では艦長Captainの下に航海長Master、航海士Master’s Mate、水夫Seamanとなっています。

お気づきでしょうか?
民間の船にはいませんが、軍艦には航海長という役職があります。
そしてその下にいる航海士、水夫という並びは一緒です。

実は日本語で航海長と訳されるMasterという役職これこそが民間の船で言う船長のことなのです。

民間では航海についての指揮系統があれば十分ですが、軍艦はと言うとこれに加えて戦闘に関する指揮系統が同時に必要になります。
そこで航海を担う船長と戦闘を行う士官を一緒に乗せて、この2つの部門をまとめる人として艦長Captainという役職ができたのです。

いまでは民間の船でもCaptainと呼ばれることが多いですが、僕が大学時代に乗っていた実習船の張り紙には「船長より」という文言にはっきりとMasterという英訳が添えられていました。

ほかにも東京ディズニーシーにある体験型アトラクション「フォートレス・エクスプロレーション」では、
港に停泊する帆船に乗り込んで詳しく見てみると船長室の入り口にちゃんとMASTER’S CABINって書いてあるんです。
さすがディズニー!!

■グロッキー
酔っ払ったり乗り物酔いになってふらふらになった状態のことをグロッキーgroggyと言うことがありますが、これの元ネタも実はイギリス海軍にあります。

大航海時代、世界の海に出たヨーロッパの船乗りたちはラム酒と出会います。
これを取り入れて、過酷な重労働を行う水夫たちの娯楽としてラム酒の配給をするようになりました。

しかしやがて水夫たちの中にこの配給のラム酒を何回分か貯めておいてそれを一度に飲んで酔っ払ってしまうという悪癖が広がりはじめてしまいます。

そこで当時の提督エドワード・バーノンがこの悪習を解決するため、ストレートで出されていた配給のラム酒を5倍に薄めた水割りに変更しました。
これはせっかくのお酒が薄められたと不評で、水夫たちはバーノン提督に対して彼が着ていたグログラムというコートにちなみ多少の反発の意も込めてOld Grogというあだなをつけました。
このあだながこのラム酒の水割りの名称グロッグGrogになります。

ただ水割りといっても元々がアルコール度数の高い蒸留酒なのでグロッグでも十分酔っ払います。
その結果グロッグを飲んで酔っ払ってしまったような状態のことをグロッキーと言うようになりました。

 

◼️240歳の現役軍艦!?

※THE NATIONAL MUSEUM OF ROYAL NAVY ( https://www.nmrn.org.uk/hms-victory/conservation ) より

ナポレオン戦争はいまから200年以上前の出来事で、当時の日本はまだ江戸時代後期の頃でした。
そんな時代に建造された軍艦が、なんとイギリス海軍では現役で活躍しているんです!

イギリス南部の軍港、HMNBポーツマスの乾ドックに保存されている帆走軍艦HMSヴィクトリーは1778年に就役した240歳という世界最古の現役軍艦です。
※HMNB:Her Majesty’s Naval Base (女王陛下の海軍基地)
HMS:Her Majesty’s Ship(女王陛下の軍艦)

HMSヴィクトリーは1805年にナポレオンが差し向けたフランス・スペイン連合艦隊とネルソン提督率いるイギリス海軍が激突した戦列艦最後の大規模戦闘と言われるトラファルガー沖海戦で有名です。
天才ネルソン提督はその海戦をこのHMSヴィクトリーに乗って指揮をとり、その最中に敵兵に狙撃されて戦死しました。

ネルソン提督はイギリス本土に到着する前に亡くなりましたが、その見事な指揮によってトラファルガー沖海戦はイギリス側の勝利となりナポレオン戦争におけるナポレオンの敗北へと繋がっていきます。

そんな歴史の重要な舞台となった軍艦そのものに今も会いに行くことができるのです!!
(もちろん度重なる補修によって文字通り「テセウスの船」状態ですが)

HMSヴィクトリーは現在もHMNBポーツマス司令長官の旗艦を務めており、現役の軍艦ですからもちろん艦長もいます。
これは最古の現役軍艦が故の特色ですが、hmsヴィクトリーの歴代の艦長はなんと100人を超えます!!
すごいですね!!

さてさて、ここまで長々とお話ししてしまいましたがいかがでしたでしょうか?
このほかにも興味深いものがイギリス海軍にはたくさんあります!
皆さんもぜひ調べてみてください!

こんなご時世なのでなかなかできませんが、いつかイギリスに旅行に行ってHMSヴィクトリーがある王立海軍博物館に
行ってみたいものです…

そしてそして最後にお知らせなのですが、実は入社2年目にしてわたくし営業部から施工部に異動させて頂くことになりました!
そのため営業部・デザイン部が中心となってリレーしているこのブログへの登場は今回が最後になります、、、

寂しいですが、今後は職人としてがんばっていきますのでよろしくお願いします!!!

ここまで読んでくださった方ありがとうございます!!
それでは皆さん良いナポレオニックライフを!!!
以上、蒔田でした!!!

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