動物病院(ペットクリニック)において新患や来院数を増やすには、外観のイメージアップが欠かせません。中でも看板は、活用方法によって信頼感や清潔感を与えることができ、集客に大きく貢献します。
今回は、動物病院(ペットクリニック)の看板製作で重要な点を解説していきます。信頼される病院づくりを目指す方は、飼い主さんの気持ちを理解した上で、看板デザインを見直してみませんか?
動物病院の看板は広告とみなされるため、法律で表現方法に規制があります。
「獣医療広告ガイドライン」に基づいたNG表現などもチェックしていきましょう。
ペットの家族化と動物病院の需要について
まずは、飼い主さんたちの考え方や動物病院の需要など、ペットをとりまく現状を把握しておきましょう。
ペットはただの愛玩動物ではなく“家族”
昨今の少子高齢化や単身世帯の増加などの影響から、ペットを飼う人が多くなっています。
ペットは飼い主さんに楽しみや癒しを与えてくれるだけでなく、命の大切さを教えてくれる存在です。
ペット需要が高まるとともに、ペットを家族として考えることが当たり前の時代になりました。
※データ引用:ペットの家族化に対する意識調査
2023年に行われたペットの家族化に対する意識調査(サンセルモsorae調べ)では、ペットを「家族(ヒト)」と全く同等、ほぼ同等」と答えた人が全体の72.9%という結果が出ています。つまり、飼い主さん10人中7人がペットを家族同然とみなしているわけです。
また、同調査では、ペットを飼育する上で意識していることの内容として、「かかりつけ医を決める」という回答が35.1%みられました。さらに、ペット飼育における出費で厭わないものとして「医療費」との回答が47.3%もありました。
これらの調査結果からも、ペットは大切な家族であり、信頼できる動物病院を必要としている飼い主さんが非常に多いことが分かります。
動物病院の競争は激化している
大切な家族の命を預ける場所として、動物病院(ペットクリニック)の需要が高まっています。しかし、需要以上に供給、つまり動物病院の数は年々増え続けており、獣医業界の競争が激しいのが現状です。
※データ引用:飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)|農林水産省
農林水産省の調査によると、ペットの診療を行う施設数は、全国的に見ても東京近郊に絞っても増加傾向にあることが分かっています。東京都だけでも、令和3年から令和4年の1年間で50件の動物病院が開設されているのです。
新患や来院数を増やすには、看板デザインの見直しやリニューアルなどを行い、「この病院にペットの命を預けたい」と思わせる必要があるでしょう。
動物病院の看板と獣医療法の広告規制について
動物病院が広告を出す時は「獣医療広告ガイドライン」に従った内容にしなければなりません。
獣医療法で広告規制の対象となるのは、誘引性・特定性・認知性の3つの要件をすべて満たしたものです。もちろん、看板も広告に該当しますので、ガイドラインから外れた表現はできません。
ここでは、動物病院の看板と獣医療法の広告規制について詳しく解説します。
獣医療法で広告規制の対象になるのは?
獣医療広告ガイドラインでは、情報伝達の性質や媒体などを総合的に判断し、広告に該当するものを明確に定めています。
- 看板
- テレビやラジオのCM
- 新聞や雑誌の広告(論文や記事は除く)
- ポスター、チラシ、パンフレット
- ダイレクトメール
- ウェブサイト
- 動画共有サイト
- SNS
上記は誘引性・特定性・認知性の要素を持つことから、広告とみなされます。
ただし、来院者に配るチラシや配信を希望する飼い主さんに送るダイレクトメールなどは、認知性に欠けるため広告とみなされない場合があります。
令和6年4月から獣医療法の広告規制が変わる
令和元年に愛玩動物看護士法が制定されたことや、ペットの多様化、獣医療の専門化など、さまざまな背景が影響し、広告制限の見直しがなされてきました。その結果、令和6年4月1日から獣医療法に関する広告規制の内容が改正されます。
この改正により、これまで制限されていた一部の内容が看板に記載できるようになります。
改正前から記載可能な項目
- 専門科名、学位(称号)
- 診療機器、大臣指定診療施設
- 家畜防疫員、農業共済獣医師、衛指協指定獣医師
- 家畜体内の受精卵の摂取や犬猫の避妊去勢手術、ワクチン接種など特定の診療内容
改正後に追加で記載可能になった項目
- 獣医師の役職履歴、専門性(農林水産大臣指定団体による)
- 診療行為全般
- 愛玩動物看護師の在籍
診療行為に関する広告を行う場合は、①主なリスクや副作用②診療の内容(期間や回数を含む)③問い合わせ先④費用を併記することが条件となるため注意が必要です。
広告制限の改正後も記載できない項目
広告規制の内容が変わるからといって、広告の表現が自由になるわけではありません。
獣医療広告ガイドラインでは、次の内容は禁止されています。
広告規制の内容が変わるからといって、広告の表現が自由になるわけではありません。
獣医療広告ガイドラインでは、次の内容は禁止されています。
- 必要事項の併記がない診療内容
- 虚偽広告
- 公序良俗に反する広告
- 誇大広告(例:当院の治療は絶対に効果を発揮します)
- 比較広告(例:有名人〇〇のペットも通院しています)
- 費用の強調(例:東京都で一番安く診療します)
- 景品表示法、医薬品医療機器等法、不正競争防止法に反する広告
- 飼い主さんの体験談
- 診療前後の写真
広告の制限に関する獣医療法第十七条に違反した場合、50万円以下の罰金、悪質な場合は免許取り消しや病院名・所在地の公表など重い罰則が科せられます。看板を含め広告を利用する際は十分に留意してください。
動物病院における看板の重要性と信頼を与えるデザイン
動物病院(ペットクリニック)の看板を設置する時は、獣医療広告ガイドラインを守った上で、飼い主さんに信頼を与えるデザインを考えます。
「そもそも、獣医師は技術が第一であって看板なんて必要ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。腕の良い獣医師にリピーターが増えるのは至極当たり前のことですが、それでもやはり看板を軽視することはおすすめできません。
ここでは、動物病院における看板の重要性と集患のためのデザインのポイントをご紹介します。
看板は来院の際の判断基準となる
口コミや近所の評判を参考にして来院される方は多いと思いますが、動物病院の評価を確実なものにするには長い年月が必要な場合もあります。実際、開業してすぐに来院者でいっぱいになる病院は稀なのではないでしょうか。
飼い主さんは家族同然であるペットの命を預けるわけですから、その動物病院を初めて訪れる時は慎重になるはずです。
そんな時、来院を決める一つの判断基準となるのが看板広告です。口コミや評判などがゼロの状態で飼い主さんが参考にできるのは、「病院の外観(外装)」と「広告」の2つしかないといっても過言ではありません。
スマホが普及している昨今ではネット広告なども集客効果が高いですが、通行人に病院の存在をアピールすることはできません。
看板は、外観に含まれる広告として、365日24時間、訴求効果を発揮してくれます。
東京近郊では転入・転出が多い
※データ引用:過去の飼育者へのアンケート及び結果(概要)
【PDF】https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/menkyo/r04_2/220920-14_sanko-1-6.pdf
動物病院を選ぶ上で重要視されるのが、自宅からの通いやすさです。文部科学省が行ったアンケートでは、かかりつけ医を選んだ理由として「家から近い」と回答した人が57.2%でした。つまり、2人に1人は自宅の近隣で信頼できる動物病院を探しているわけです。
とはいえ、いつ何時も同じ患者さんが来院されるとも限りません。特に、東京都やその近郊においては、毎年多くの転入・転出があります。引越しを機に、かかりつけ医を変える方も少なくないでしょう。
都道府県 | 転入者数 | 転出者数 |
東京都 | 25,786 | 25,057 |
神奈川県 | 13,921 | 13,162 |
千葉県 | 10,069 | 10,050 |
埼玉県 | 12,366 | 10,552 |
4都県合計 | 62,142 | 58,821 |
※データ引用:住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)11月結果|総務省統計局
4都県はデータで見ても人の転入者出が非常に多く、その分、新患を獲得するチャンスに恵まれます。看板デザインする際は、「近所に引っ越してきたペットの飼い主さんを必ず顧客にする」くらいの気持ちが大切です。
動物病院の看板で信頼感を与えるには?
動物病院は命を預かる場所ですから、ペットの飼い主さんからの信頼感が必須といえます。
患者さんの信頼を得るためには、第一に清潔感が必要です。塗装が剥がれてボロボロの建物や外観を見て「この病院は信頼できる」と感じる人は少ないでしょう。
老朽化した古い看板を綺麗な看板にリニューアルするだけでも、病院の印象は大きく変わります。
かかりつけ医を選ぶ時に獣医師の人柄で決める飼い主さんも多いため、看板に院長先生や獣医師の似顔絵や笑顔の写真を掲載するのも良いです。競合と差別化するためにロゴマークを入れる病院も多いです。こうした文字以外の要素は、親しみやすさを与えてくれるため、看板デザインでは積極的に取り入れましょう。
また、色が与える印象を活用する方法もあります。例えば、清潔感なら白、信頼感や落ち着きなら青、優しさや温かさならピンク・オレンジ…というように、色によって与えるイメージが異なるため、看板デザインの際は配色も考慮します。
まとめ
今回は、動物病院(ペットクリニック)の看板について解説しました。
ペットの需要増加や家族化に伴い、動物病院の必要性も高まっています。患者さんの信頼を得てかかりつけ医に選んでもらうには、大切な家族(ペット)の健康を願う患者さんの気持ちを考慮しなければなりません。
その第一歩として、オリジナリティかつ清潔感のある看板へのリニューアルをおすすめします。
弊社・オーエスアートでは、屋外広告士監修のもと、東京・神奈川・埼玉・千葉のエリアにて、動物病院の看板製作に対応しております。動物病院では外観が新患獲得に大きな影響を与えることもあります。開業やリニューアルの際は、外装を含めたトータルプロデュースを弊社にお任せください。