都道府県ごとに文化や歴史、県民性などが異なるように、看板デザインにも地域ごとの個性があります。
前回までは神奈川県の看板デザインについて、特色や傾向をご紹介しましたが、広告物のルールに従ったおしゃれな看板が数多くみられました。同じ神奈川県内でもエリアによって景観の特徴が異なるため、看板も差別化されているのも印象的です。
今回は、神奈川県と東京湾アクアラインで繋がっている「千葉県」の看板に着目していきたいと思います。
千葉県ってどんなところ?特徴や文化をチェック!
西を東京湾、東を太平洋に挟まれている千葉県は、人口約600万人、290万世帯が住んでいる県です。
政令指定都市である千葉市を含め、37市16町1村で構成されています。東京都、茨城県、埼玉県に接しており、舌を出した犬や手を広げたペンギンのような個性的な形をしています。
そんな千葉県の特徴や文化をチェックしていきましょう。
千葉県の歴史とシンボル
その昔、房総半島を訪れた四国の阿波の人々が麻を植えたところ、良質な麻が育ったことから、麻の古語である「総(ふさ)」の国と呼ばれるようになりました。後に上部が上総、下部が下総となり、上下合わせて房総となります。
千葉県の発祥のきっかけとなる出来事が、1871年(明治4年)の廃藩置県です。房総に24県が誕生し、上総が木更津県、下総が印旛県となり、1873年(明治6年)6月15日に両県を合わせて千葉県が生まれました。
江戸時代に実測により日本地図を完成させた伊能忠敬旧宅・記念館のほか、臼井城の戦いや三船山の戦いなど、合戦の舞台となった古戦場が現存しており、歴史ファンからも注目されています。
千葉県の県鳥は、県に生息し県民に親しまれている「ホオジロ」。県の木は、年間を通して温暖である気候風土を好む「マキ」。県の魚は、明るさや発展を象徴する「タイ」です。
千葉県の文化や伝統
千葉県には歴史的建造物のほかに、絵画や彫刻、工芸品、歴史資料など数多くのものが県指定有形文化財に指定されています。
また、千葉県では「佐原の山車行事」や「鬼来迎」「茂名の里芋祭り」のような国指定等文化財を始め、伝統文化に関する行事が100以上もあるなど、県独自の文化が大切に受け継がれています。
千葉県の他にはない魅力
千葉県は東京に隣接していながらも農業が盛んな県です。中でも、江戸時代から栽培されている梨の産地として有名で、収穫量や栽培面積、産出額ともに全国一となっています。他にも、落花生や大根、ほうれん草、枝豆などの産地として知られています。
石油精製や石油化学を中心とした商工業地でもあり、スズキやキンメダイを代表とする水産業においても全国上位の生産量を誇るなど、日本の産業を支えています。
東京ディズニーランドや鴨川シーワールド、幕張メッセなどの観光名所も多数存在し、国内外からの観光客が後を絶ちません。訪日外国人観光客の数は東京に続くといわれており、インバウンド需要も高いです。昨今は「海」「食」「花」「温泉」「祭り」といった千葉の強みを生かし、インバウンド推進に向けた観光地の整備などが薦められています。
参考:千葉県の産業/千葉県
千葉県で看板を設置する時に注意したい「屋外広告物条例」
屋外広告物とは、街頭で配られるチラシや店頭の張り紙、看板など、屋外に一定期間継続して公衆に表示されるものをいいます。千葉県では、これら屋外広告物に関した条例が独自に定められているため、看板デザイン・設置の際は遵守しなければなりません。
ここでは、千葉県の屋外広告物条例を分かりやすく解説していきます。
条例の目的と適用エリア
看板は企業や店舗、ブランドのPRをする集客ツールでありながら、街の活気や賑わいに
貢献する役割を持ちます。その反面、デザインや設置方法によっては、周辺の景観を損ねたり通行人に危害が加わったりするリスクもあるものです。
千葉県の屋外広告物条例は、看板のルールを設けることで街の景観を保ち、人々への危害を防止するために設けられています。
適用エリアは、独自の条例がある千葉市、船橋市、柏市、流山市を除く50市町村です。適用されない4市では独自の条例が制定されています。
禁止広告物と禁止物件
条例では、県内のどこであっても設置することが許可されていない「禁止広告物」が定められています。禁止広告物は次の4つの広告を指します。
- 汚染や退色、塗料等の剥離が著しいもの
- 破損や老朽が著しいもの
- 倒壊、落下の恐れがあるもの
- 交通の安全を妨げる可能性があるもの
要するに、老朽化が激しい、あるいは人の安全を脅かす看板を設置してはいけないということですね。
また、屋外広告物の設置ができない禁止物件の指定もあります。
- 道路や鉄橋などの橋梁や歩道橋
- 道路の石垣、よう壁
- 街路樹、路傍樹、保存樹
など
適用除外となる広告
一見すると厳しいルールに思えますが、一部の広告物は規制の適用除外となります。
- 催事場やイベント、講演会などのため、会場の敷地内に設置する広告物
- 氏名、名称、商標または事業の内容を表示するため自己の住居、事業所に設置する広告物
など
このように、屋外広告物条例は一般的な店舗看板などの設置に支障があるものではないため、積極的に看板を活用していきましょう!
参考:屋外広告物のしおりhttps://www.pref.chiba.lg.jp/kouen/
大都市なのに自然豊か!千葉市の看板のルールやデザインの傾向は?
千葉県の中央部に存在する千葉市は、千葉県の県庁所在地であり人口最多(約9万7千人)の市です。東京湾に面しており、日本三大貿易港の千葉港を擁することから日本の重要な工業都市・国際都市でもあります。
ここでは、そんな千葉市に焦点を当て、看板のルールやデザインの傾向、看板に求められる要素などを検証していきます!
千葉市の看板ルール
千葉市で看板を設置する時は、独自の屋外広告物条例によるルールに従いましょう。規則に違反した場合、調査札の取り付けや看板の除却、罰則などの措置を受ける可能性があるため注意が必要です。全市共通の代表的な事項を以下に紹介します。
- 道路や交差点等での見通しを妨げない。
- 場所に合った照明や色彩、大きさ、位置を選定する。
- 公園や河川などの風景を遮らない。
- 広告を取り付ける場所の安全性を確保する。
- ネオンサインなどで近隣に迷惑をかけない。
- 最小限の情報にまとめ、スカイラインに影響を与えない。
また、景観維持のため、広告物の設置に関して特に細かな規制が必要な地域は「広告物景観形成地区」に指定されており、独自の基準が設けられています。
指定されている幕張新都心中心地区は、特性によってビジネスエリアと賑わい創出エリアとに分けられ、それぞれ基本方針が異なります。いずれのエリアでも、黒や彩度の高い色の使用により、景観を損ねたり交通の安全を妨げたりすることは禁止されています。(商標登録を除く)。
千葉市のイメージと看板に求められること
千葉市が行ったWEBモニターアンケートでは、千葉市のイメージについて「交通・アクセス」に関して記述した人がもっとも多い結果となりました。自由記述内容では、交通量の多さや都内へのアクセスの良さ、東京の通勤圏といったイメージを挙げている方がいます。
つづいて自然や気候、レジャー・商業に関して記述した人が多く、千葉市には実にさまざまなイメージが抱かれていることが分かります。
このアンケート結果は、千葉市が掲げる都市アイデンティティの「古いものと新しいもの、都会と田舎など融合により魅力を生む街」「海と緑に囲まれた文化芸術やスポーツが楽しめる街」との共通点も多いです。
看板デザインにおいても、千葉のイメージや千葉らしさが伝わるような創意工夫が求められるでしょう。
千葉市の看板デザインの傾向
千葉市の看板デザインでは、周辺環境に馴染む落ち着いた色彩が用いられている傾向にあります。看板を用いて店名や業種を強調しすぎることはなく、外観全体で店舗のコンセプトが表現されているのが特徴的です。
比較的新しい店舗では、ローマ字表記の立体文字看板が多く使用されており、シンプルかつおしゃれなデザインに仕上げられています。新旧の融合を重んじる千葉市らしく、SNSではレトロな看板も印象に残りました。
また、夜間の視認性対策では、ネオンサインではなく照明器具を活用して上品にまとめられています。
千葉市を含む千葉県では、看板が店舗外観に清潔感や上品さを添えていることが伺えます。他県にはない発想といえますので、千葉で看板デザインをする際はぜひ意識してみてください。
まとめ
今回は、千葉県における看板のルールやデザインの方向性を解説しました。
千葉県=東京ディズニーランドを思い浮かべる人も多いと思いますが、歴史的建造物も多く、田園風景が広がる地域もあるなど、さまざまな魅力を持っています。
千葉市で看板デザインをするなら、「美しい景観を維持すること」「清潔感や上品さを付加すること」を念頭に置きましょう。
弊社・オーエスアートは、屋外広告士監修のもと、東京・神奈川・埼玉・千葉のエリアで看板製作を行う看板専門店です。飲食店から小売、サロン、クリニック、事業所など、あらゆる業種の看板デザインをお任せいただけます。看板の設置やリニューアルをお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。