【前編】神奈川県の看板デザインの特色と傾向を調査!注意したいルールも解説

「看板なんてどこも同じ」と思っていませんか?

実は、看板の設置には都道府県ごとに細かな規則が設けられており、地域によって特色が異なります。

例えば、東京と神奈川は、同じ関東圏でも看板のルールやデザインの傾向に違いがあります。

全国の中でも、人気観光地がたくさんある神奈川県。横浜中華街やみなとみらい、箱根、鎌倉など…皆さんは、足を止めて看板を眺めてみたことはあるでしょうか。

今回は、神奈川県における看板のルールやデザインの方向性を解説していきたいと思います。鎌倉市にスポットを当てて具体例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

神奈川県ってどんなところ?特徴や文化をチェック!

神奈川県の形の写真。

日本列島のほぼ中央に位置する神奈川県は、人口約900万人、400万世帯が住んでいる県です。

政令指定都市である横浜・川崎・相模原の3つの市を含め、33の市町村で構成されています。北部が東京都、東部が東京湾、西部が山梨・静岡、南部が相模湾に接しており、地面に手をついている動物のようなユニークな形をしています。

そんな神奈川県の特徴や文化をチェックしていきましょう。

神奈川県の歴史とシンボル

神奈川県周辺には、旧石器時代から古墳時代にかけての遺跡が約7,500ヶ所も残されています。神奈川県は、1185年・源頼朝による鎌倉幕府の開府、1853年・アメリカのペリー来航、1945年・マッカーサーの厚木海軍飛行場進駐など、歴史的な出来事に大きく関わっている県です。関東大震災からの復興を経て、現在の活気ある街が作られてきました。

神奈川県の県鳥は、平和の象徴であり海の玄関・横浜港を連想させる「かもめ」。県の木は、温暖で雨量の多い気候に適した「イチョウ」。県の花は、三浦半島や箱根などが名所と呼ばれる「山ゆり」です。

参考:神奈川県の歴史 – 神奈川県ホームページ

神奈川県の文化や伝統

史跡や神社などの歴史的建造物が多い神奈川県は、金太郎の聖地としても知られています。童話や昔話で有名な金太郎は、小田原市の南西にある足柄山中で赤竜と山姥の間に生まれた子だとされているんですよ!

また、神奈川県には「箱根寄木細工」「小田原漆器」「鎌倉彫」といった国指定の伝統工芸品があり、伝統技術や自然素材を大切にする心が継承されていることが伺えます。

参考:県のたより6月号3面-2 – 神奈川県ホームページ

神奈川県の他にはない魅力

白い灯台がある海辺の写真。

神奈川県は、県西地区や湘南地区のように海や山などの自然豊かな地域と、横浜・川崎地区のように観光スポットや商業施設の多い地域、自然に恵まれ、田園風景が残る県央地域、野菜や葉山牛の名産地である横須賀・三浦地域に分けられます。

神奈川県は、県外通勤・通学者数および県民の平均通勤・通学時間が全国第1位です。多くの人が東京などに時間をかけて通勤・通学していることが分かりますね。戸塚エリアを始め、東京都内のベッドタウンとして人気の街も多いです。

都会の華やかさと郊外の落ち着いた雰囲気の共存が、神奈川最大の魅力ではないでしょうか。エリアによって特徴がはっきりしているため、生活しやすい街ともいえます。

参考:「ランキングかながわ[統計指標でみる神奈川]改訂第5版を作成 – 神奈川県ホームページ

神奈川県で看板を設置する時に注意したい「屋外広告物条例」

進入禁止の道路標識看板の写真。

屋外広告物とは、看板や屋上広告塔、アーチ、張り紙など、一定期間に渡り屋外で公衆に表示されるものです。看板をデザイン・設置する時は、都道府県ごとに定められた「屋外広告物条例」に則る必要があります。

ここでは、神奈川県の屋外広告物条例を分かりやすく解説していきます。

条例の目的と適用エリア

看板は店舗や企業の存在をPRし、集客力を高める上で重要な製作物です。しかし、それと同時に公衆の目に広く留まるものであり、街の景観に大きな影響を与えるものでもあります。仮にルールがなかったとしたら、街の至る所に派手な看板を設置する広告主も当然いることでしょう。

これを踏まえ、神奈川県では「良好な景観の形成」「風致の維持」「公衆に対する危害の防止」を目的として屋外広告物条例が制定されています。

適用エリアは、鎌倉市、逗子市、葉山市をはじめとした23市町です。それ以外のエリア(横浜市や川崎市)では、独自の条例が制定されています。

許可地域と禁止地域

鶴岡八幡宮の写真。

広告が許可されている地域は、以下の5種類に分けられています。

  • 自然系許可地域
  • 住居系許可地域
  • 工業系許可地域
  • 沿道系許可地域
  • 商業系許可地域

地域ごとに広告物の大きさや高さなどの許可基準が異なり、看板を設置する際には各自治体の窓口で申請が必要です。

例えば、自然系許可地域には国立公園や県立自然公園の普通地域などが該当し、広告物の表示面積は27㎡以内と決められており、ネオン照明・点滅照明の設置が禁じられています。

また、条例では広告物を表示してはいけない禁止地域も定められており、該当するエリアには看板を設置することはできません。

(一例)

  • 重要文化財の建造物の敷地、周辺50m以内の地域
  • 史跡、名勝、天然記念物に指定または仮指定された地域
  • 歴史的風土特別保存地区

広告物の表示ができない「禁止物件」にも注意が必要です。

(一例)

  • 橋梁や高架構造物
  • 街路樹、路傍樹
  • 石垣
  • 電柱
  • 道路の路面

規制の対象外となる広告

条例の内容だけを見ると、「看板の設置ルールは厳しい」という印象を受けるかもしれません。しかし、最小限度の広告物は規制の対象外となるため、集客に大きな支障はないものと思ってよいです。

例えば、オーナーさんが店舗や営業所の敷地内に出す看板について、「10㎡以下」「商品名などが全体の1/2以下」などの要件を満たせば、許可手続きなどは不要です。

その他、細かなルールは、屋外広告物条例をご確認ください。

参考:神奈川県開成町 (PDF:神奈川県屋外広告物条例のあらまし)

古い町並みが人気の鎌倉市!看板のルールやデザインの傾向は?

鎌倉駅前の写真。

神奈川県南東部に位置する鎌倉市には、鶴岡八幡宮や長谷寺、高徳院、円覚寺など多くの歴史的建造物があります。古い街並みが現存する鎌倉は、毎年約2,000万人が訪れる関東でも有数の観光スポットです。

ここでは、そんな鎌倉市に焦点を当て、看板のルールやデザインの傾向、看板に求められる要素などを検証していきたいと思います!

参考:令和4年(2022年)、鎌倉の延入込観光客数約1196万人|鎌倉市

鎌倉エリアの看板ルール

鎌倉市で屋外広告物を設置する時は、景観法第8条第2項第2号イによる制限に注意が必要です。全市共通の代表的な事項を次で紹介します。

  • 建築物の敷地内に納め、周辺景観と不調和にならないよう配慮する。
  • 眺望や道路ビスタの保全に配慮し、なるべく低層部に設置する。
  • 景観形成に重要な施設に隣接する場所では、イメージを損ねないような配置にする。
  • 建物との統一感を重視し、彩度6以下の控えめな色彩、3色程度に抑える。
  • 写真の使用は控え、蛍光塗料などは使用しない。
  • 控えめで暖かみのある照明を使用する。

また、緑地景観地区など一部のエリアでは、建物と同系色、もしくはアースカラーにするなど、控えめな色彩を選ぶよう制限されています。

参考:鎌倉市ホームページ (PDF:土地利用類型別景観形成基準の作成イメージについて|鎌倉市)

鎌倉エリアの看板デザインの傾向

彩度は0から14までの数値で表され、色が鮮やかなほど数値が大きくなります。鎌倉では彩度6以下が共通事項ですので、彩度の低い落ち着いた色合いの看板デザインが特徴的です。

分かりやすい例として、コンビニエンスストアの看板が挙げられます。

県民の方はご存知かもしれませんが、鎌倉にあるコンビニは、切り文字やラインなど、看板の色が他の地域に比べて控えめなんですよ!

SNSでも、看板の色に関して「ちょっと渋い」「地味色」「濃いめ」とのコメントを見かけます。鎌倉の街並みや景観と調和したコンビニの看板は、県民の方や観光客に好評のようです。

また、神社や仏閣(寺院)などの他、古民家が建ち並ぶ場所も多いため、石や木材、布など自然素材を用いた看板が多いのも鎌倉ならでは。サイズも小規模なものがほとんどです。

SNSにも、鎌倉のおしゃれな看板が多数投稿されています。歓楽街のような派手さはないものの、奥ゆかしさや上品さ、温かみを感じる看板デザインが魅力的ですね!

鎌倉のイメージと看板に求められること

ある研究のアンケート調査により、鎌倉に対して「古都の印象」「和風な建物」「落ち着きがある」「環境と調和している」という景観イメージを持つ人が多いことが分かっています。

よって、鎌倉で看板を設置するなら、店舗や商品のPRだけでなく、良い印象を維持する配慮がかなり重要になるでしょう。

鎌倉市の景観は過去10年以内にどのように変化したか表す円グラフの写真。
第28回市政e-モニターアンケート「鎌倉市の景観形成に関する市民意向について」

鎌倉市が行ったアンケート調査では、市の景観について「過去10年以内にどう変化したと感じるか?」といった質問がなされています。

回答した141名のうち、良くなったと答えた人は全体の19%。ほとんど変化していないが37%、悪くなったと答えた人が30%という結果が出ています。

悪くなったという理由として、「看板・広告の色彩が鎌倉の地にふさわしくない。無計画な看板が多すぎる」という回答をした人もいました。また、公共サイン(案内板等)のデザインの向上を求める声も多いです。

鎌倉の看板に求められるのは、周りの環境に溶け込む、統一感のあるデザインだといえます。大きさや派手な色で目立たせるのではなく、フォルムや建物とのコーディネートに工夫を凝らしましょう。

参考:鎌倉市若宮大路周辺商業地におけるまち並み空間の変容に伴う景観評価に関する研究http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00061/2012/39-04-0005.pdf

まとめ

小田原城の写真。

今回は、神奈川県における看板のルールやデザインの方向性を解説しました。

エリアによって街並みや雰囲気がガラリと変わるのも神奈川県の魅力です。看板デザインを進める際は、「周辺環境との親和性はあるか?」「地域の印象を悪くさせないか?」ということを常に確認しましょう。

弊社・オーエスアートでは、屋外広告士監修のもと、東京・神奈川・埼玉・千葉のエリアにて、多業種の看板製作に対応しております。企業様はもちろん、飲食店やスポーツジム、教育施設、美容系などさまざまな建物の看板デザインをお任せください。

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