自動車で移動する人にとって、駐車場はなくてはならない設備です。
駐車場と一言でいっても、店舗・施設・集合住宅の駐車場や月極駐車場、コインパーキングなどさまざまな形態の設備があります。
せっかく駐車場が設けてあっても、設備を必要とする人にその存在が知られなければ全く意味をなしません。
お客さんに駐車場を利用してもらうには、案内役となる「看板」が必要不可欠です。駐車場の看板は駐車場サインと呼ばれており、その種類やデザインも多岐に渡ります。
今回は、駐車場の看板(駐車場サイン)の役割や需要について詳しく解説していきます。
駐車場の看板(駐車サイン)の主な役割と目的
駐車場は、文字通り駐車するための場所ですから、自動車を所有する人の利用に限られる設備です。まずは、駐車場に看板を設置する目的や駐車サインの役割をご説明します。
駐車場の発見
駐車場サインを含め、全ての看板に該当する役割が「目的地の発見」です。たとえ需要があったとしても、駐車場や店舗の存在が知られなければ利用してもらうことはできません。駐車場に看板を設置する第一の目的は「必要としている人に見つけてもらうこと」にあります。
駐車場への誘導
駐車場に看板を設置する目的の一つが、駐車設備や店舗への誘導です。駐車場の存在を知っていても、具体的な場所や行き方が分からなければ設備に辿り着くことができません。駐車場サインには、お客さんをスムーズに案内する役割があります。
駐車場の情報提供
駐車場サインにはさまざまな情報を掲載することができます。例えば、店舗や施設の場所、駐車場の名称、営業時間などです。駐車場から離れた場所に看板を設置する場合、駐車場までの距離(~m)や方向など位置情報を提供することもあります。
利用方法の掲示
駐車のルールや清算の方法、料金など、駐車場の利用における必要事項を掲示するために用いられることがあります。これにより、駐車場の正しい利用方法を公知できます。
利用制限や注意勧告
無料駐車場のように設備がオープンになっていると、不特定多数の人が利用する可能性があります。これを防止するため、看板を設置して利用制限を設けることが可能です。また、月極駐車場においても、注意勧告を促す看板を設置することで、契約者以外の利用を制限できます。(文言の一例:「当店ご利用者以外駐車禁止」「契約者以外駐車禁止」)
駐車場の空き状況チェック
駐車場サインの中には、「満車」「空車」といった表示切り替えができるものもあります。これにより、駐車場の空き状況がひと目で判断できます。
自動車を所有する人の割合や駐車場の利用について調査!
駐車場の看板には発見・誘導・情報提供などの役割があるため、利用者にとっては重要な存在といえます。自動車を移動手段とする人の多くは、駐車の際に看板を目印にするため、駐車場サインは必須です。
しかし、駐車場の需要そのものが気になるオーナーさんも多いと思います。
実際のところ、自動車を所有する人の割合や駐車場の利用実態はどのようになっているのでしょうか。
東京都に住む人の自動車所有率は50%
※出典:東京都政策企画局 令和4年10月「自動車利用と環境に関する世論調査」
東京都全域に住む満18歳以上の男女(4000人)を対象とした調査では、自動車(自動二輪車は除く自家用車)を所有している割合が50.2%という結果になりました。
「いつかは所有したい」という回答と合わせると、全体の60%近くの人が駐車場設備の顧客となり得るわけです。
エリア別に「自動車を所有している」回答の割合を見ると、多摩西部・島しょが78.7%、多摩中央部北が75.9%、多摩中央部南が69.4%。東京で働く人の住宅都市といわれる多摩エリアの人は自動車の所有率が高いことが分かります。
物件付帯の駐車場よりも近隣の月極駐車場
出勤や外出などで車を利用していない時は、住宅の近くの駐車場に駐車しておくのが一般的です。では、車を所有している人は、いったいどんな駐車場を利用しているのでしょうか。
※出典:アットホーム株式会社のプレスリリース「車所有者の実態調査」
平均月額料金は、物件付帯の駐車場よりも近隣月極駐車場の方が高い傾向にあります。しかし、関東における駐車場別利用割合は近隣月極駐車場の方が高く、全体の51.1%でした。
東京都心部では駐車場付き物件が少ないということが理由に考えられますね。この調査からも、月極駐車場の需要は高いと判断できます。
駐車場の有無が施設選定に大きく影響する
※出典:アクトインディ株式会社 おでかけ施設の駐車場に関する調査
「おでかけ施設の駐車場に関する調査」では、回答者327名のうち自家用車を持つファミリーは80%以上、車で施設に出かけたことがあるファミリーは90%弱であることが分かっています。
同調査でもっとも興味深いのが、駐車場の有無が施設選定に影響するかどうかという質問です。なんと、全体の90%以上が「影響する」と答え、その内「とても影響する」と答えた人は70%にも上っています。
つまり、駐車場サインが無いために駐車場が発見できなかった場合、別の施設が選ばれる可能性があるということです。
以上のことからも、駐車場の看板は、駐車場利用のみならず店舗や施設の利用にも影響を与えることが伺えますね。
駐車場の看板もおしゃれなデザインが◎駐車場サインに求められることとは
昨今、東京や横浜などの都市部では、おしゃれなデザインの看板を多く見かけます。看板も外装の一部ですから、魅力的なデザインは店舗や施設の価値を高めてくれるでしょう。
駐車場の看板にも同じことが言えます。前項の調査でも分かるように、駐車場サインが店舗や施設の評価を左右することは十分あり得るのです。
ここでは、駐車場の看板に求められること、看板デザインをする際に知っておきたいポイントをご紹介します。
運転中でも認識できる「分かりやすい文字」
人の動体視力は速度が上がるほど低下するため、運転中の視野は狭くなるといわれています。運転者が瞬時に駐車場サインを見つけられるように、看板デザインの際は「分かりやすさ」を重視しましょう。
看板における「分かりやすさ」は主に2つに分けられます。
①視認性
パッと見た瞬間に看板の存在が認識しやすいかどうか
②可読性
看板に書かれている文字(文章)の読みやすさ
看板の視認性や可読性は、フォントの種類や文字の大きさで上下するため、フォント選びには注意が必要です。
一般的には、ゴシック体(丸、角、UDなど)の太字が見やすいとされています。自動車を用いた試験では、メイリオの太字が最も可読距離が長いという結果が出ているため、ゴシック体かメイリオを選ぶのがベターです。
参考文献:国土交通省「視認性実験結果について」
文字を見やすくする「適切な配色」
看板の文字を見やすくする要素に適切な配色が挙げられます。
文字と背景色のコントラスト(明度差)が大きいほど文字が見やすくなります。遠方からの文字の見えやすさを考慮するなら、暗い色の背景には明るい色の文字を、明るい色の背景には暗い色の文字を使用するのがおすすめです。
自動車を用いた試験では、5色(水色、白、緑、ピンク、橙)の背景のうち、黒い色の数字の可読距離がもっとも長いのは白色で、水色や緑も同程度の可読性を持つという結果が出ています。
また、背景色の判別が可能な距離がもっとも長いのは水色で、最も短いのは橙色という結果もありますので、こちらも参考にしてください。
参考文献:国土交通省「視認性実験結果について」
利用者を誘導するための「連続的な配置」
駐車場サインには利用者を目的地に誘導する役割が非常に大きいため、連続的な配置が重要になります。
特に、住宅地の入り組んだ場所にある駐車場や他の建物など障害物の影響で発見しにくい場所にある駐車場の場合、大通りから目的地までの間に複数の看板を設置するのが望ましいです。
SNSでも、駐車場サインを頼りに目的地を探す人の声が多く見られました。
駐車場の入口付近に1つだけポツンと看板が設置されていても、利用者の目に留まらない可能性があります。
駐車場の看板を設置する時は、利用者の目線になることが大切です。
集客にも繋がる「親近感やデザイン性」
従来、駐車場の看板というとシンプルで簡素なデザインというイメージがありました。しかし、最近は駐車場サインにもおしゃれなデザインが求められてきています。
看板デザインは利用者に親しみやすさを与える要因にもなるため、集客アップを目指すオーナーさんはリニューアルを考えてみてください。
「おしゃれな看板」にする簡単な方法が、イラストを入れることです。一般的に、画像は文字の7倍の情報量を伝えられるといわれています。
つまり、「駐車場」という文字よりも自動車のイラストが描かれていた方が利用者の目を引きやすいというわけです。
他にも、Parkingの頭文字「P」マークや、駐車場の方向を示す矢印「→」がよく用いられます。また、ファミリーや女性の顧客層が狙えるケースでは、可愛らしいキャラクターのイラストを入れるのも効果的でしょう。
まとめ
今回は、駐車場の看板(駐車場サイン)の役割や需要、駐車場の看板に求められることを解説しました。
調査などのデータの結果、駐車場の有無が店舗や施設の利用に影響を与えること、自動車で外出する人は看板を目印に駐車場を探すことなどが分かりました。
利用者に親切かつ的確に目的地に誘導できるような駐車場サインを設置しましょう。
弊社・オーエスアートでは、屋外広告士監修のもと、東京・神奈川・埼玉・千葉のエリアにて、駐車場の看板製作に対応しております。店舗や施設の外装を含めトータルでリニューアルすることも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。