【後編】東京都の看板デザインの特色と傾向を調査!注意したいルールも解説

前回は、千代田区や渋谷区の看板ルール、看板デザインの傾向をご紹介しました。

同じ東京都でも、エリアが違えば看板の特色が異なり、ひいては街の雰囲気も異なることがよく分かりますね。

今回は、引き続き東京都の看板デザインについて調査し、まとめていきます。看板専門店の弊社が製作した東京都の施工事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね!

パトロールや看板指導に意欲的!新宿区の看板ルールやデザインの傾向を調査

歌舞伎町一番街の写真

「都心といえば新宿」というように、東京23区のほぼ中央に位置するのが新宿区です。商業や文化の中心となる繁華街が広がりつつ、公園や緑地も多いなど自然豊かな一面を併せ持つのが特徴的。人口約35万人、そのうち65歳以上が全体の約20%を占めるのは意外かもしれませんね。

ここでは、そんな新宿区の看板ルールやデザインの傾向を検証していきたいと思います!

参考:新宿区の人口:新宿区

新宿区の看板ルール

新宿で看板を設置する際は、屋外広告物に関する景観形成ガイドラインに従う必要があります。同ガイドラインでは、良好な景観形成のためには、屋外広告物と周辺環境・建築物・隣接する屋外広告物との関係性が重要だとしています。

ここでは、エリア別に設定される景観形成の目標・看板製作のポイントをまとめました。

住居エリア

落合や内藤町、牛込台地に広がる地域や大久保地区など商業エリアに近い住宅街です。

目標 暮らしの価値や魅力を高める景観へ

ポイント

  • 伝統色ののれんを活用した落ち着きある店舗
  • 集合住宅(建物の素材や色彩)と一体的に計画された看板
  • 彫りこみ看板は照明や自然光で引き立たせる
  • 落ち着いた色彩を採用し派手な色彩は避ける

商業エリア

歌舞伎町などの繁華街や神楽坂のような商店街、大久保のような商業地を指します。

目標 地域の個性を高め魅力をつくる賑わいある景観へ

ポイント

  • 看板の大きさや色数を抑える
  • フラッグや連続した袖看板などで賑わいを作る
  • アイストップ(人の注意を惹くこと)を意識する
  • 建築物のデザインを活かす
  • 建築物や建築物の照明と一体的にデザインする
都庁の写真

オフィス街・工業エリア

都庁周辺の高層ビル街や駅前、住宅地などさまざまな形態のビジネスエリアを指します。

目標 業務空間として地域特性に応じた質の高い景観へ

ポイント

  • 大規模建築物では店舗等を集約化する
  • 箱文字看板など建物と一体的なデザイン
  • 住宅地では低層部と同系色の落ち着いた色彩を選ぶ
  • 看板の過度な提出を抑え、低層部に集約させる
  • 透明素材で圧迫感を軽減し洗練された印象にする

歴史、自然などの景観資源周辺

新宿御苑や明治神宮外苑周辺など、歴史的価値や自然の多いエリアです。

目標 地域の貴重な歴史や自然に調和した美しい景観へ

ポイント

  • 大きさや色彩を配慮し周辺景観や眺望景観との調和を図る
  • のれんなどを活用し風格を高める
  • ロゴマークを効果的に使用する
  • 和風の店舗はそのイメージを維持する
  • 駐車場看板は落ち着いた色彩を採用する

駅前交差点、幹線道路

新宿通りや早稲田通り、山手通などの幹線道路沿いや駅前エリアを指します。

目標 まちや通りの表情をつくる魅力ある景観へ

ポイント

  • 大きさや色彩、素材など意匠性を高める
  • 商業ビルでは入居店舗名を計画的に配置する
  • 建物の形態意匠を活かす
  • 駐車場看板はモノトーンが望ましい
  • フラッグを活用して魅力を高める

上記を参考にして、そのエリアにふさわしい看板をデザインしましょう!

参考:新宿区景観形成ガイドライン|(PDF:屋外広告物に関する景観形成ガイドライン(素案))

新宿区のイメージと看板に求められること

出典:新宿区のまちの魅力の研究(1)―にぎわいの実態把握と意識面からみる魅力の分析―のグラフ
出典:新宿区のまちの魅力の研究(1)―にぎわいの実態把握と意識面からみる魅力の分析―

2016年のある研究では、区民と区外在住者を対象とし、新宿区のまちの将来的なイメージについての調査が行われました。

調査結果では、区民の回答は「安心・安全なまち」が最も多く、区外在住者の回答は「おしゃれな店や飲食店があるまち」が最も多くなっています。

区民、区外在住者のイメージを両立させるために、個性や賑わいを表現しつつ、清潔感や信頼感を与える看板デザインが求められるでしょう。

新宿区の看板デザインの傾向

新宿は多様性のある街ですから、都の条例に違反した華美な看板が掲示されることは少なくありません。新宿区では、看板指導やパトロールなど地域の取り組みも盛んです。

快適な街づくりに意欲的に取り組む新宿では、エリアの特性に合った魅力的な看板を数多く見つけることができました!

新宿区まちなみ景観賞を受賞した「兵庫横丁」にある会席料理店。老舗の料亭が建ち並ぶ石畳みの路地は、花街の面影を残しています。周辺の建物との調和がとれた趣のある看板は、どこか懐かしさを感じさせます。

SNSやテレビで話題になった、つつじ通り沿いのカフェ。お店のコンセプトに合った看板が「インスタ映えする」と、日本人だけでなく外国人観光客の心も掴んでいます。個性的でありながら、コンクリートの近代的な建物と一体化したデザインが特徴的です。

新宿御苑の近くにあるヘアサロン。清潔感のある白い外壁とコーディネートするかのように、看板や外装はアースカラーでまとめられています。全面ガラスのドアにさりげなく入ったロゴマークがおしゃれ。緑豊かなオフィス街にふさわしい、洗練された雰囲気です。

新宿ではエリアによって、和と洋、レトロとモダン、華やかさと落ち着き…など、相反するイメージの看板がみられます。看板で店舗の印象を良くするには、外観全体のバランス、周辺環境との調和も大切であることが分かりますね。

東京タワーで有名!港区の看板ルールやデザインの傾向を調査

お台場の写真

港区といえば、日本・東京のシンボルである東京タワーがある区です。東京タワーのある芝公園や新橋、虎ノ門など芝エリアはビジネスの中心地として栄えています。

その他、ファッションの街として知られる赤坂エリア、お台場など観光で人気の芝浦港南エリアなど、いくつかのエリアに分かれています。ブランド価値が高く、富裕層からの需要も大きいです。

ここでは、そんな港区の看板ルールやデザインの傾向を検証していきたいと思います!

参考:港区ホームページ|港区の魅力を知ろう

港区の看板ルール

港区は、景観行政団体(景観法に基づく景観行政を行う団体)です。平成29年に区独自の景観形成ガイドラインを策定しています。港区で看板を設置する際は、このガイドラインを基準としなくてはなりません。

港区全エリアの共通項として、看板デザインの際は以下の点を必ず考慮するようにしましょう。

  • 周辺景観との調和や建築物との一体性、街の魅力向上に貢献
  • 文字は必要最小限の大きさ、情報の配置や配列を整える
  • 見やすい書体、地域特性を踏まえた素材、色彩、形態
  • 交差点に面した場所では、建築物の外観を活かす
  • 高彩度の色や色数を抑える、カラーユニバーサルデザインに配慮
  • 照明は住環境に配慮した照度や光の指向性、点灯時間を調節
  • 映像を用いた新しい広告手法を取り入れる
  • シンプルで共感されやすい表示内容

港区では、屋外広告物をデザインする時、歩行者の目線に立つことを重要視しています。一般的な壁面看板や袖看板、垂れ幕は、なるべく低層部に設置した方が良いでしょう。

参考:港区ホームページ|港区屋外広告物景観形成ガイドライン

港区のイメージと看板に求められること

港区ホームページ|港区まちづくりマスタープランの改定について 今後の港区の在り方について調べたグラフ
出典:港区ホームページ|港区まちづくりマスタープランの改定について

上記は、街の将来像や方向性を検討する際に港区が行ったアンケート結果です。

対象となった区民3,600人に理想のまちについて質問したところ、優先度第1位・2位ともに「高齢者も快適に暮らせるまち」が多くを占める結果となりました。また、港区は住みやすさからファミリー層にも人気が高まっており、子育て・教育環境の充実を求める声も多いようです。

調査結果を踏まえて検証してみると、看板デザインでは30~40代やその子ども、高齢者をターゲットにしてみるのが良いかと思いました。認識しづらい配色を避け、ユニバーサルデザインを意識してみましょう!

港区の看板デザインの傾向

港区はビジネス街、住宅街、商業エリアともにおしゃれな街並みが大きな魅力です。お店のオープンや看板リニューアル時には、建物の形状や素材、周辺環境と看板との一体感を工夫するオーナーさんが多いようです。

港区では、アート的なデザインはもちろん、歩行者からの見やすさに配慮した看板が多くみられます。視認性の高い配色や適度なフォントサイズ、背景と文字とのコントラストなど、ユニバーサルデザインを取り入れている店舗も目に留まりました。

必要以上に情報を入れないのも港区の看板の特徴です。「必要最低限の情報」を選定することがおしゃれな看板への近道といえるでしょう。

東京都の看板製作は専門店にお任せを!弊社の施工事例をご紹介します

弊社は、東京・神奈川・埼玉・千葉を対応エリアとした看板専門店です。これまで、東京都で看板製作のご依頼を多数いただき、デザインから製作、設置まで手掛けてまいりました。

ここでは、弊社が実際に製作した東京都の看板の施工事例をご紹介します。

株式会社上保造園様(東京都世田谷区)

主に造園事業を行う株式会社上保造園様の看板を製作いたしました。「緑で街を、地球を豊かにする」という理念を看板デザインで表現。木目調タイルの外壁に樹木のイラストを入れることで、業種が直感的に伝わるようになっています。建物全体の配色バランスを考え、樹木の色を緑ではなく青にしました。別途、事業内容を記載した壁面パネルを設置し、情報を集約しています。

エスプロジェクト株式会社様(東京都新宿区)

不動産賃貸仲介を行うエスプロジェクト様の看板を製作いたしました。建物や周辺環境との調和を考慮し、色数を最小限に抑えています。白い背景に黒文字を配置して視認性を向上。遠方からでも目に留まりやすい看板になりました。アクセントカラーに彩度の低い黄色を用いることで、親しみやすく柔らかい印象を与えています。

ユニバーサルエステート様(東京都練馬区)

不動産の売買仲介や賃貸仲介を行うユニバーサルエステート様の看板を製作いたしました。企業のイメージカラーとロゴマークを用いてデザイン。アースカラーと白を配色することで、清潔感と落ち着きのある外観に仕上がりました。少ない字数、かつ大きめのフォントで掲載したウインドウサインは、短時間で見る人に強いインパクトを与えてくれるでしょう。

まとめ

東京都の看板デザインの特色と傾向について、3編でお伝えしてまいりました。

抽象的な言い方になるかもしれませんが、看板は街の空気も変える力があるのではないかと思います。だからこそ、経営者やオーナーの皆さまには、看板を含め建物の外観にこだわっていただきたいのです。

東京都で看板製作を検討されている方は、弊社・オーエスアートにご相談ください。各エリアの景観形成ガイドラインに沿った、おしゃれな看板をデザインしますよ!お気軽にご相談くださいね。

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